【第257話】この記事のFXに対する認識は間違ってないか?

へたっぴです。

最近、投資に関する記事で非常に気になる記事を見つけたので紹介します。

プレジデントオンラインの記事です。

 

 

投資会社の社長の方が執筆されていて、要は『FXは99.9%負けるギャンブルで、レバレッジでFX業者の養分になるだけだから資産形成には適していない』というものです。

FXをルーレットに例えて解説していますが、いろいろ突っ込みどころ満載でした。

本当に金融アナリストなの?と言いたくなります。

 

あまりにもひどいのでブログで紹介することにしました。

プレジデントオンラインの発信力と比べると数万分の1程度しか見られてないブログで、何の影響もないですがちょっと黙ってられません!!

突っ込むところその1です

 

FXは為替の変動に賭けるゲームですが、投資対象としては不適切です。

これにはふたつの要因があります。

その1 レバレッジを掛けること
その2 その結果、短期の相場変動に賭ける投資になること

まず、突っ込むところのその1です。

レバレッジは必須ではないです。

なんでFXを不適切とする人はレバレッジが必須のように書くかなぁ。

しかも、FXはフルレバレッジしないと運用できないみたいな書き方で。

大前提としてレバレッジは制度であって、ルールではないです。

FXを利用している人がかならずしも、1倍よりも高いレバレッジをかけて運用しなければならないことはないです。

2倍でも良いし、1倍でも0.5倍でも良いです。

レバレッジはその人の運用方針次第です。

 

この記事の理屈に従えば、個別株の投資は信用取引でしかも最大の3倍で運用しなければならないことになってしまいます。

高いレバレッジだと少しの為替変動で大損する可能性があるから危険というのはわかりますがなんでも一緒くたにするのは明らかに間違いです。

低いレバレッジで長期に渡ってスワップをもらう手法も立派なFXの投資方法の一つです。

 

突っ込むところのその2です。

たとえば手持ちのお金が10円しかなく、勝ってもらったお金はすべて次の勝負の賭け金として使うという賭けをしたとしましょう。FXとは、この例のようなゲームです。

そして、ルーレットの赤黒に10回賭けるとしましょう。為替は上がるか下がるかの二択ですので、赤か黒かに賭けるルーレットに似ているところがあります。

奇跡的に10回すべて勝つとします。

勝ち1回目 10円×2=20円
勝ち2回目 20円×2=40円
・・・
勝ち10回目 5120円×2=1万240円

これだけ奇跡の連続が起こって、やっと1万240円の儲けです。

このFX風ルーレットでは、勝ったお金はすべて次の賭け金として使っていますので、途中で1回でも負けると自分のお金はゼロになります。

計算式は省きますが、この賭けは1024分の1023の確率で有り金がゼロになります。そして1024分の1の確率で1万240円になります。また、負けてすべてのお金を失う可能性は99.9%です。

 

『為替は上がるか下がるかの二択ですので、赤か黒かに賭けるルーレットに似ているところがあります。』

 

FXのみならず、株、商品、そもそも金融商品全てが自分が売買した価格から上がるか下がるかなので、この例えは全ての投資に当てはめることができます。

FXだけが当てはまるかのような書き方は明らかにミスリードです。

この金融アナリストはFXに何か恨みでもあるのでしょうか?

突っ込むところのその3です。

『これだけ奇跡の連続が起こって、やっと1万240円の儲けです。』

 

最初の掛け金は『10円』であるということを自分で忘れたのですかね?

10円が1万240円になったということは1024倍になったいうことです。

1万円でスタートしてたら1024万円、10万円でスタートしてたら1億240万円。

やっとどころかとんでもない利益です。

ギャンブルでも事業でも利益額は元金で大きく変わるので金額で比べても意味がないです。

僕だったら、この人の分析は何の参考にもしません。

突っ込むところのその4です。

『このFX風ルーレットでは、勝ったお金はすべて次の賭け金として使っていますので、途中で1回でも負けると自分のお金はゼロになります。』

 

この手の例えで一番ありがちな間違いです。

『何を持って勝ちとするのか、負けとするのか』

これがFXなどの投資とルーレットなどのギャンブルと大きな違いで、大前提となるものです。

前提が全く異なるものに例えても全く例えにはなりません。

 

競馬、競輪、ルーレット、カードゲーム、toto、宝くじ、抽選etc、所謂一般的にギャンブルと呼ばれるものにはある共通点があります。

それは『スタートとゴールの時間(地点)が明確に決まっており、試行回数が区分されている』ということです。

競馬などのレースはゴールの場所が決まっており、スタート後にゴールが動いて走る距離が変わることはありえません。ポーカーなら手札を見せる瞬間、ルーレットならボールがポケットに入った瞬間、サッカーのtotoなら対象の試合が終わった瞬間。

そしてゴールした時点で損益が確定します。

『今、自分が賭けている馬が5着だけど、あと1000m走れば逆転するかもしれないからゴールを伸ばして!』と言ってもゴールの場所が変わることはありません。

 

ところがFXはもちろん株式投資などではゴールを動かすことができるのです。

『今、ゴール(決済)したら損だけど、逆転するかもしれないからゴール(決済)の位置を動かしてみよう』ということが可能なのです。

つまり投資の場合、ゲームの終了時点は自分で決めることができます。

例外は投資先の倒産、もしくはロスカットによる強制終了のみです。

1ドル=100円にロングで1万通貨単位かけてというゲームをした場合、99円になった時点で終わらせる必要はなく、ロスカットにあわないのであれば50円になったとしても終わらせる必要はないのです。

そのうち、何年後か10年後かに101円になった時にそこで終わらせても良いのです。

投資というゲームは基本的に自分で終わらせない限り終わらないものなのです。

 

あえて投資をルーレットに例えるならボールが一旦ポケットに入ったとしてもボールがそこから勝手に出てきてぐるぐる回ってまた別のポケットに入る。これを延々と繰り返しているようなものです。目的のポケットに入ればそこで決済してもよいし、そのうち別のポケットに入るのを狙ってもよし。もちろん目的のポケットにずっと入らず、時間だけが過ぎていくこともあるので途中で止めても良し。その場合は掛け金は直近に入ったポケットの数字次第で利益になったり損したりする。

そんな感じの現実では絶対ありえないルーレットになると思います。

突っ込むところその5です。

『何を持って勝ちなのか負けとするのか』はFXの場合はレバレッジと大きく関係するので、レバレッジを抜きにして例えるのは大前提からして間違ってます。

おそらく1万円を1ドル=100円にロングで1万通貨単位かけて、99円になったら1万円損するので掛け金全部を失うということを言いたいのでしょうが、実際のFXではレバレッジ1倍と100倍では全く意味が違います。

米国ドル円の取引においてレバレッジ100倍なら1円動いただけでロスカットもありえますが、レバレッジ1倍ならロスカットにはなりません。

 

上に書いたようにFXは一つの例外を除いてゲーム中のゴールを動かすことができます。

その一つの例外がゲーム中は常に最低証拠金を維持しているということが必要ということです。

含み損を抱えていても最低証拠金が維持されていれば強制終了にはなりませんが、レバレッジと大きく関係するので、レバレッジを抜きにしてギャンブルに例えるのは根本的に間違ってます。

この記事のルーレットの例えは常に高いレバレッジかけていると一時的に利益を上げたとしても高い確率で破産する可能性が高いという例えにしか過ぎず、FXという投資に関する全てが破産する可能性が高いということにはまったくなりません。

突っ込むところその6です。

この記事における他のトピックについては、まぁそうだろうなとしか思わないですが、これってFXだけに当てはまることか?

 

・やる側が有り金をなくしてもFX業者は儲かる

⇒株でも個人が損しても、証券会社は損することはないです。

・短期の動きを当て続けるのはプロでも不可能

⇒他の投資商品でも無理なんじゃ?

・為替は理論値通りには動かない

⇒株も理論値通りに動かないでしょ?まぁ理論株価も正しいわけではないけど。

 

『勝てても少額、負ける時は全額スるのがオチ…FX投資を「2分の1で勝てる」と考える人が根本的に間違っていること』

がこの記事のタイトルですが、僕はこのアナリストの考え方が根本的に間違っていると思います。

まぁ筆者も本心でそう思っているわけではなく、提灯記事みたいなものなのでしょう。

FXの世界においても投資スタイルは様々なものがあり、その全てを一緒くたにして論じるのは無理があるなぁと思いながら、依頼されたから書くしかないかという感じで書いている・・・・と思いたいです。

いくら投資初心者向けとはいえ、全く違う分野の論評を書いているわけではないし、こんな分析してたら僕なら全く信用しませんね。

へたっぴ
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